奇歌劇「こうもり」
2009年06月14日(日)
CSで、ヨハン・シュトラウス2世の喜歌劇「こうもり」を観た。「こうもり」は大好きなオペレッタのひとつで、1971年に上演された、カール・ベーム指揮ウィーンフィル、アイゼンシュタインにヴェヒター、ロザリンデにヤノヴィッツという「こうもり」を、何回も何回も飽きずに観ている。19世紀ウィーンの上流社会の華やかさと滑稽さ、すべてをシャンパンのせいにして終わる陽気さが、とにかくたまらない。
今回観た「こうもり」は、2001年のザルツブルグ音楽祭で上演されたもので、演出は鬼才ハンス・ノイエンフェルス。カーテンコールでは拍手がかき消されるほどのブーイング、訴訟問題にまで発展したといういわく因縁つきの舞台らしい。そんなオペラを指揮したのがマルク・ミンコフスキというから、彼のファンとしては絶対に見逃せない。
観終わった感想は一言、…絶句。あまりに強烈な印象で、これが「こうもり」のはずがないと、頭の中は混沌・混乱。とにかく趣味が悪い。けれど、あまりの悪趣味ぶりが、つい癖になりそうな毒の味。クラシックファンとしてではなく、演劇ファンとしてたまらない。2時間があっという間だった。
露骨な性描写や、残虐な人殺しの場面、狂言回しとして登場する、看守フロッシュ役の女優・トリッセナール(ノイエンフェスルの奥方)の曲者ぶり。オルロフスキー公爵はドラッグ中毒者として描かれていて、その奇態な演技ぶりと奇妙な発声に、バリトン歌手のデイビッド・モス、この公演の後に声がつぶれたのではないかとちょっと心配になるほど。
そしてしばしば現れるナチスの影、唐突に流れるリストの曲、原理主義だのサルトルだのといった言葉。「日本女性もウィーン女性なのだ!寿司もグラーシュも変わらない」というトリッセナールのセリフにいたっては、いったい何のことだか。(ザルツブルグ音楽祭に足を運ぶ、たくさんの日本人へのリップサービス?)
いつもなら陽気な気分にさせてくれるシャンパンの歌も、下着姿のシェーンベルク合唱団に唖然、あの優秀なシェーンベルク合唱団がここでは狂気の沙汰。あまりの演出に、途中で怒って帰ってしまった聴衆もかなりいたらしいが、通常の品の良いオペラファンなら、まずこの演出には耐えられっこない。とにかく品がなさすぎだもの。
特筆すべきはミンコフスキ。狂乱状態の舞台を尻目に実に優雅な音楽を作り上げていて、ミンコフスキらしさが、どんな場面でも崩れることはなかった。ミンコフスキとしばしば共演しているデルーンシュ(ロザリンデ)は、この強烈な演出の中では残念ながら個性埋没といった印象。「プラテー」ではその美声と美貌が一際素晴らしく思えたのだけれど…。顔が終始引きつって見えたのは、あまりの客席の反応に怖気づいていたのかしら?
というわけで、今日はアイゼンシュタインを私の大好きなヘルマン・プライが、そしてオルロフスキー公爵をヨッヘン・コバルスキーが演じている「こうもり」でお口直し。やっぱりノーマルなほうがいいかも?いやいや、人間だって猫だって、ちょっとクセのあるくらいがちょうどいい。
写真(上):我が家のこうもり猫?
写真(下):これを見て「こうもり」とは思わないでしょ?・・・
衝撃(?)のバロックオペラ『レ・パラダン』
2009年06月22日(月)
日曜日は外出、数日前からそう決めていたのに生憎の雨。面倒くさくなって引きこもり。昼食後に、ポランスキー監督の『オリバー・ツィスト』をCSで観ていたのだけれど、2時間ちょっとの映画を1時間ほど観ておしまい。19世紀のロンドンの町並みは実に見事に再現されていたし、光の使い方も素晴らしい。制作費が80億円というのも頷ける。でもそれだけ・・・。同じ監督の『戦場のピアニスト』に比べると、物語の運び方や人物描写がなんとなく平べったくて、最後まで見ようという気になれなかった。題材のせい?
で、録画しておいたラモーのバロックオペラ『レ・パラダン』を観ることに。CG画像を組みあわせた実にテンポ感のある「アート」な舞台演出。ラモーの時代の優雅さなんてどこへやら、ヒップ・ホップ、クラシック・バレエ、コンテンポラリー・ダンス、巨大なお尻の女性が、その巨大なお尻をブリンブリンと振りまくるアフリカン・テイストなダンスなど、まあそれはそれは賑やか。
ライオンやラクダやうさぎや馬が次々と現れ、ついでに一糸纏わぬ全裸の男女もぞろぞろ。えっ?えっ?ほんとに裸?うわ~っ、素っ裸!さすがに画面ではモザイクがかけてあったけれど、実際の舞台ではモロ見えだったのだとか。パリ、ロンドン、中国、そして日本で上演されたそうだけれど、中国でも全裸の男女が舞台を駆けまわったのかしら(…って、そのことばかりに興味を惹かれたわけではありません、念のため)。
アティス役のトピ・レティプは、大学時代はロックバンドのボーカルだったとかで、う~ん、歌は上手いし見栄えはするし、実にカッコいい!アルジ役のステファニー・ドゥスラックは力が入っていて、聴いていてどうも疲れる。おまけに、アティスとアルジの愛のデュエットで二人が顔を寄せて歌うと、ドゥスラックの顔がレティプの2倍はあって、大きな顔だなあと、そのことばかりが気になって仕方がなかった。
クリスティ率いるレ・ザール・フロリサンの演奏がこれまた素晴らしく、日本公演に行けばよかったと、公演の日程を調べてみたら2006年の11月。いろいろな音楽評を見てみるとどれも絶賛しているし、ああ悔しいったらありゃしない。ところがこれだけの舞台だったのに、初日は招待客でどうにか埋まっていたものの、2日目はガラガラだったのだとか。バロックじゃ、オーチャードホールの2,150人というキャパを埋めるのは無理かもね、なんて思っていたら、理由はどうやら別のこと。
チケットのお値段がS席35,000 、A席30,000、E席でやっと9,000円。オペラが高いのは仕方のないことだけれど、35,000円?7,000円の演奏会に5回行ったほうがずっといいとつい思ってしまう。猫のためなら病気の治療とかなんとか、35,000円って言われても迷わず(・・・でもないか)ポンと出すのにね。
写真(上):我が家の歌姫、発声練習中
写真(下):レ・パラダンの賑やかな舞台
野鳥保育園
2009年06月30日(火)
真美ちゃんの脇の下が赤くハゲてしまってなんだか痒そう。皮膚の炎症は厄介なものが多いと聞いていたので、先週の金曜日、動物病院に連れて行った。原因がよくわからないということで、とりあえずステロイドと抗生物質を処方して頂き、今日はすっかり良くなっている。というわけで、この件は一件落着。ところが、真美の治療と引き換えにちょっとしたお荷物を抱えてしまった。
動物病院に行くときは猫一匹だったのに、帰りは鳥の赤ちゃんが一緒…。動物病院の前は2車線の道路。私の車の前を、鳴きながらヨチヨチと横切る幼鳥に出くわしてしまった。見なかったことにしようと自分に言い聞かせ、いったんは動物病院の中に入ったものの、車の行き来が激しい道路、放っておけばきっとペチャンコ。必死で道路を渡っていたその姿が頭から離れず、気分はそぞろ。
意を決して道路に戻ってみると、鳥を除けながらスピードダウンして走る車の隙をぬって、道路の一番はずれまでたどり着くところ。車が切れたところで道路に走り出て捕まえ、動物病院でダンボールの小さな箱を頂き、その中に入れて連れ帰ってきてしまった。
動物病院の先生からは「野鳥は捕まえちゃだめですよ、親鳥が迎えにきているはずですから。飛べるようになったら放鳥してくださいね。」とキツイお達し。もうすでに何回もスズメの幼鳥を拾っては放鳥しているし、野鳥の会などにも相談したことがあるので、そのあたりのことは重々承知。「保護」じゃなくて「誘拐」だっていうことも。
でも…親鳥が迎えに来るっていったって、あの2車線の道路でどうやって幼鳥にえさを与えるというの?どうやって元の巣まで誘導することができるというの?帰ってからネットで調べてみると、翌朝早く、落ちていたあたりに幼鳥を連れてゆくと、親鳥が迎えにくる可能性があると書いてある。
眠れない布団の中で、あの子にとって何がベストなんだろうと考えていたが、あの道路の近くに放したところで、助かる見込みなんてまずありえない。人間が、自然の摂理に逆らって手を貸すのが必ずしも良いことだとは思えないけれど、助けられる命なら助けてあげてもいいんじゃないかと、明け方になってようやく覚悟を決める。放鳥までの間、あの子の命を預かろうと。
以前に2回ほど、ツバメともう一種類はなんだったか、道路の真ん中で一羽が絶命していて、その鳥の上をクルクルと旋回して離れようとしない親鳥だか、夫婦の片割れだかの様子を目撃したことがあって、なんとも可愛そうでならなかった。そんなことも思い出して。
というわけで、一時「野鳥保育園」を開園。幼鳥はスズメではなく、カワラヒワという種類らしい。羽根を広げると黄色い線が入っていて実にきれい。それよりなによりこの鳥、飼い主の楽器の演奏に合わせて美しい声で鳴くのだとか。楽器の種類は何でもいいのかしら?楽器に合わせて歌ってくれるその日まで、飛べないでくれるといいなあと密かに思ったりして。
だめだめ!情が移らないようにしなくちゃ。
写真(下):ま~ったく、酔狂としか言いようがニャイ・・・今度は鳥だってサ。
プロフィール
鈍行列車の「ちゅうちゅうとれいん」はいつも満員(ふ~っ…)!時々燃料切れを起こして更新が滞ることがありますが、どうぞ末永くおつきあいくださいネ。姉妹編の「あけみ参上つかまちゅり~」もよろしくお願い致します。
Cast

樹里絵(jyurie):1998年生まれ。マイペースで世話が焼けません。性格温厚で超パパっ子。

桃之輔(momonosuke):1999年生まれ。甘えっ子ですが、ものすごく臆病で、ほとんど一日中、布団の中に隠れています。

亜依子(aiko):2000年生まれ。自己主張が強くて偏屈ですが、そこがまた可愛いいんだなあ。超ママっ子です。

真美(mami):2005年生まれ。外見はタヌキそのもの、性格は犬そのものです。才気煥発で気性が激しい。

美意子(miiko):2005年生まれ? 歯を見ると6、7歳…本当は何歳だろう?一日中、文句たらたら言っています。

奈々(nana):2001年生まれ。ようやくノラっぽさもなくなり、明るい陽気な子になりました。
明美(akemi)にゃ三郎(nyasaburou)、小牧(komaki):2007年生まれ。仲良し3兄弟。毎日楽しそうに暮らしています。

里音(satone):2009年8月保護。どんな生い立ちでどんなニャン生を過ごしてきたのか、それは謎です。未来を生きる猫!

寿々(suzu):1994年12月~2010年3月12日。パパの仕事部屋に入れた唯一の子。人の気持ちがよくわかる、とてもとても頭の良い子でした。

福太郎(fukutarou):1997年4月~2008年3月20日。陽気で甘えっ子。抱っこされるのが大好きでした。お母さん代わりだった寿々との再会、「欣喜猫躍」していることでしょう。
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