リカちゃん教授のイヌネコ論
2008年02月10日(日)
ああ損した。本の著者は香山リカ。もともとこの方の本の評判が芳しくないことは知っていたけれど、『イヌネコにしか心を開けない人たち』という本の題名についつい惹かれ、720円という大枚をはたいてしまった。常日頃、11匹もの猫を飼うなんて病的かもしれない、心理の奥底に、実は重大な病理が潜んでいるのかもしれないと思っていた弱味につけこまれてしまった。
これほどに根拠のない、論点の定まらない、結論のない本を書いた人物の肩書きが大学教授。この方、研究者としての正道を歩まれたふうはなく、あの容姿と、リカちゃんという名前がマスコミ受けして、いつのまにか教授職まで得てしまった感じ。話題性で学生を惹きつけることが目的だったのか、大学も罪なことをするものだ。大学で学ぶ最大の目的は、論理的思考を育成することにあると思っているが、この教授から何を学ぶ?
この本の内容にイチャモンをつけようと思えばキリがないが、その中のいくつかを。まず「動物愛護活動をする人」の中の「多く」は、「人間より動物が大事」という考えにとりつかれていると書かれていて、思わず、へえーっと。その論拠として、オランダの極右党党首ピム・フォルタイン氏を暗殺した人物が、動物愛護、環境保護に熱心に取り組んでいる活動家だったという例をあげている。
リカ教授いわく、暗殺者に、「動物は救うべきだが、フォルタインは死ぬべき」という価値観があったのは、「確か」なんだそうだ。挙句、「このように動物愛護活動は人間への嫌悪や敵意と表裏一体となる危険性がある」という極論を導き出す。フォルタインの、当時のオランダでの複雑な政治的立ち位置を思えば、暗殺者がエコロジストであり、それゆえにフォルタインを暗殺したといわんばかりの結論には疑問を呈さざるをえない。分析があまりに大雑把すぎる。
すべての事象について調査を行い、その結果から丁寧に分析したことなんて、この本には何一つ書かれていないが、動物愛護団体にはトラブルが多いという話もそのひとつ。動物愛護活動をしている人たちには2種類あって、ひとつは精神的に余力があって活動している人たち、もうひとつは、人間社会で傷ついた心の穴を活動で満たそうとする人たちなのだそうだ。「心に余裕がないからこそ動物愛護の活動に」という後者の場合、心に穴の開いた人、傷ついた人が集まって保護活動を行っているから、団体の中で人間関係のトラブルが起きることは十分に予想できるのだという。
同じ日に買った、アンソニー・ストーの『天才はいかにうつをてなずけたか』(求龍堂)で、ストーはその前書きに、「満足な人生を送っている人は想像力を働かせることはなく、不満をもつ人こそよく想像力を働かせると言える。想像力を生む内面的な活力は満たされることのない願望であり、どんな単純な想像力であれ、それは現実に対する不満を実現すべき願望に置き換えたものである」というフロイトの言葉を紹介している。
フロイトの言葉をそっくりそのまま受け止めるなら、心に穴の開いた人、傷ついた人が集まってこそ の保護活動。不満を実現すべき願望に置き換えようとする人々の間で、譲れない、譲りたくないという理想がぶつかりあえば、齟齬が生じるのも不思議ではない。それよりなにより、人間関係のトラブルは心の余裕云々ではなく、むしろ組織としての理念の低さ、あるいはリーダーの統率力の欠如によるものとしたほうがよほど自然のように思うし、人が2人集まれば争いが起きる、というのも世の常。
傑作なのが、熱狂的なイヌ・ネコ好きの多くは子どもがゼロかひとり。子ども三人以上には、何よりもイヌ、ネコという人はほどんどいないという話。これも周囲を見渡せば…程度のことからの推測らしいが、少子化の一因には、イヌ、ネコの溺愛があるんじゃないかと。つまり、イヌ、ネコには「脱性愛化」を促進する力が強く、セックスレスを引き起こし、少子化に至るのだと言う。「脱性愛化」だなんて、精神科医の面目躍如たる分析だが、巷のおばさまの井戸端会議でも、下卑た笑いと共にこんな結論が出そう。
この方、精神科医という専門家の立場で活躍をされているのだろうが、往々にして、このレヴェルの人物が今の日本の「知識人」「文化人」として持ち上げられている。そんな人たちのコメントが嬉々としてテレビからたれ流され、そうだそうだと同調する国に未来なんてあるはずがない。太平洋戦争期の戦前、戦中にも同じような現象があり、それが戦争を肯定、激化させたのが論より証拠。って、ちと脱線。
写真:(上)あけみは、イヌだろうがネコだろうが人間だろうがお構いなく心を開く。「自己愛的」なことこの上ない性格の持ち主だけれど。(下)ミミちゃんはヒトにしか心を開けないネコ。
公約という名の口約束
2008年02月16日(土)
大阪府民の選択の誤り、というだけで済ませられる問題ではあるまい。橋下徹氏、大阪府知事就任後の公約破棄(まあご本人は「原則」と言ったのだとか、「机上の空論だった」とか、わけのわからない大義名分をつけているが)には目を覆うばかりだ。そもそも橋下徹なる人物のことは一切知らず、「タレント候補」として大阪府知事に立候補したことで、やっとその名前と顔を知った程度。
つい最近になって、you tubeで件のNHKの「遅刻」騒動がupされていて、そこで橋下氏の動いている姿を初めて見たが、へえ、こんな「おにいちゃん」だったのか。食いつきそうな目つきをした人が嫌いだから、個人的にはまったく好きになれないけれど、まあ見た目はスマートだし、弁護士という仕事も世間的にはそれなりに魅力的。
この橋下氏なる御仁の言動を見るにつけ聞くにつけ、自分が大阪府民だったら、我が身を任せようなんてこれっぽっちも思わない。どこか石原都知事に共通する傲慢さが感じられるし、傲慢なだけならまだしも(でもないが)、両人ともその傲慢さに許しがたい弱者蔑視が漂う。
テレビがうまく作り出した偶像、そこにさらなる幻想を重ねての大阪府民の選択だったのか、それとも、本気でこの人なら大阪の未来が託せるとでも思ったのか。あの小泉前首相のカイカク劇場のからくりとその顛末をすでに知っていながら、それでも同じ手口に騙されるというあたり、大阪人は余程ヒトがいいのか。
大阪ばかりじゃない、そもそも日本人、すべてを水に流すのが得意なのかもしれない。というか、まあええやんか精神の蔓延。それが証拠に、東京都だって石原都知事の三選を許しているし、宮崎県は没落寸前のお笑いタレントの、政治家へのリクルートに温かく手を差し伸べた。岩国市も「補助金、やんねえ」という政府の汚い手口に、市民は良識を封じてしまった。
橋下氏の場合、大阪府知事就任以前の発言の数々を見れば、この人がどういう思想の持ち主なのかよくわかろうというもの。公約なんて守るはずがないことは目に見えていた。何を言ったか、何を撤回したのかはWikipediaあたりにも書かれているのであえて書かないが、公約の重みを自覚していない。
嘆かわしいのは、それをマスコミが叩かないこと。小泉前首相も「国債30兆円枠を守る」という公約を破り、「この程度の公約を守れなかったことは大したことではない」と、平然とした顔で強弁していたっけ。それでもなお小泉氏を持ち上げていたのは取りもなおさずマスコミ、それに踊らされていたのは国民だった。一国の首相でこの発言、それが許されるのだから、大阪府知事の公約破棄なんてチョロイもの。
大阪府知事の問題は大阪の問題、高見の見物だなんて言っているブログもあるが、そうではあるまい。じわりじわりと、日本全国にこうした知事が選ばれていくところに怖さがある。鳴り物入りの知事が、絶大な人気を誇りつつ日本列島を北上しているのだから、都道府県がお手てつないで強権国家の後ろ盾になる日もそう遠くはあるまい。騙されたと思った時にはすでに戦地、「おっかさーん!あの一票が命取り」。
選挙が、もはやどんな政策を実現しようとしているのか、その政治家の思想信条を問うことなく、人気投票に化してしまったこの現実。橋下氏に気をよくした自民党。次回の選挙では、大量のタレントを担ぎ出してくるという噂もある。民主主義というより、これはもう民痴主義。
写真:(上)我が家の人気投票一位は父・・・。(下)サビちゃんだけは絶対に母。
プロフィール
ジュリママと猫たちを乗せて走る鈍行列車のちゅうちゅうとれいん。車窓から見える風景を、気ままに書き綴るブログです。あけみちゃんの絵日記、『あけみ参上つかまちゅりーっ!』もどうぞよろしく。どちらもボチボチの更新ですが、末永くおつきあい頂ければ嬉しく思います。
月別記事
カテゴリー
検索
コメント
トラックバック
-
[JANJAN][お宅訪問!逮捕!!]「渋谷麻生邸不当逮捕事件に抗議 名古屋で“愛”の募金活動(JANJAN)(Ainu_puyarAの日記)
Esaman2008/11/08 11月3日、名古屋の東部にある歴史ある門前町、覚王山で開催されている覚王山祭りで、渋谷で逮捕された人たちを応援する募金...
-
[お宅訪問!逮捕!!]『麻生首相のお宅訪問!逮捕!!』新聞報道・映像特集(Ainu_puyarAの日記)
救援会公式ブログ http://asoudetekoiq.blog8.fc2.com/ 関連映像 ■渋谷署警察官との事前打ち合わせ@ハチ公 http:/...
-
[新聞報道][お宅訪問!逮捕!!]「麻生さんのおうちを見にいこう」のどかな企画に警察暴力―関係者に聞いた現場の真実(JANJAN記事)(P8・貧困者末端会議&名古屋Pネットのブログ)
Esaman2008/10/27 26日夕刻に行われた渋谷駅前から麻生太郎首相のお宅見学に行くという、ごく平穏な企画は、警察に「無届けのデモ」と見なされ...
-
野良猫に餌をあげたら罰金10万円・・こんな町はペストでも流行っちまいな(えんとひなたぼっこ)
・・って過激なタイトルで不快に思われた方ごめんなさい 【ニュース抜粋】 東京都荒川区は9月19日野良猫やカラス、ハトなど飼い主のいない動物に餌を与...

