ゲイジツの秋・・・
2007年10月06日(土)
昼食を食べる時のBGMにと、テレビをつけるとストラヴィンスキー。実は我が家、NHKから民放まで、どのチャンネルも見ることができない。・・・というか、夫はともかくも、妻は、リモコンでどうやればチャンネルに合わせられるのか、その方法を知らないという超アナログ人間…。
見ることができるのはCSで、大抵、クラシカジャパンかシアターTV、もしくは日本映画チャンネルかシネフィルイマジカ。たま~に疲れている時に旅チャンネルを見て、旅行に行った気分になるぐらい。
若い子たちの早口と高い声が苦手になり始めたのは、ずいぶん前のこと。老いてしまったのかなんなのかわからないけれど、現代のテンポについていけない自分を発見して以来、NHK&民放テレビを見なくなってしまった。(受信料は払っているのになあ・・・)
食事時は原則としてテレビの電源は入れないのだけれど、夫の出かけている時だけはデレッと羽根を伸ばす。最近は日本映画チャンネルで立て続けに松田優作を観て感激してしまった。実はその昔、吉祥寺の寂れた映画館で、松田優作主演映画の5本立てというのを観たりしたほどの大ファン。
どこが好きなんだろう…今改めて見ると、どこが好きだったのか、その理由がよくわからないのだけれど、早逝する人というのは、どことなく「悲運」を予感させるものを持っていて、人間の生の不条理を全身に纏っているような雰囲気。そこに、なんともいえない魅力を感じてしまっていたのかも知れない。あまり健全とは思えないけど。
それはともかくも、本日のストラヴィンスキーの出し物はバレエ音楽『きつね』。ストラヴィンスキーは大好きな作曲家。とりわけ今日は2004年のウィーン芸術週間で、ブーレーズが指揮し、アンサンブル・アンテルコンタンポランが演奏したという極上のもの。
演奏の素晴らしさは言うにおよばず、演出のあまりの見事さに思わずため息が出てしまうほどだった。鶏を何とか外に誘き出して食べようとする狐と、その周りを囲む猫や羊たち。色彩感、構成感が実に素晴らしい。せっかくだったのでテレビの画面をデジカメで写してみたけれど、これじゃ何がなんだかわらないか?(おまけに我が家は21インチの古ぼけたテレビ・・・)
次に演奏されたのがシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」。これがまたまた、もう大好きなんだなあ。この演出も秀逸で、監獄を思わせる檻の中にソプラノのアニヤ・シリアとブーレーズ、そして器楽演奏者達がすべて入っているという光景の中で物語が展開する。異界を眺めている気分だった。
ただ、この檻の中にひとつだけ気になるものがあって、それは高いポールのてっぺんに座っているお猿さん。30分ほどの演奏時間、顔だけは動かすものの、ずっと同じ姿勢のまま。猿がそんなにじっとしていられるはずはなく、だから手とか足を縛られているんじゃないかしら、あるいはボードに接着剤でくっつけられていたりして…と、そればかりが気になって仕方がなかった。
クラリネットの甲高い音などには反応しないのだけれど、ピアノの音が苦手らしく、ピアノが鳴り響くとビクっとする。かわいそうになってしまい、最後にはそのことばかりが気になって、曲の結末はどこへやら。やれやれ、動物好きというのも良し悪し。
ところで敬愛するソプラノ歌手のT先生、来年、70歳をお祝いしてのリサイタルでこの『月に憑かれたピエロ』も歌われるとか。アニヤ・シリアも70歳ぐらいのはずで、年など関係なく、むしろその年齢だからこその見事な歌唱ぶりだった。
T先生もさぞ素晴らしい歌声を披露してくださるに違いない。かなりの適役と思うのだけれど、でもこれって、少々狂気を感じさせる人にしかコナセナイ。だから、期待して失礼にあたらないものかしら…いや、狂気あってこそ芸術家というもの。
写真:(上)ストラヴィンスキー『きつね』の一場面。後ろ向きになっているのは猫。(左)シェーンベルク『月に憑かれたピエロ』。左のポールの上にお猿さんがいる。
プロフィール
ジュリママと猫たちを乗せて走る鈍行列車のちゅうちゅうとれいん。車窓から見える風景を、気ままに書き綴るブログです。あけみちゃんの絵日記、『あけみ参上つかまちゅりーっ!』もどうぞよろしく。どちらもボチボチの更新ですが、末永くおつきあい頂ければ嬉しく思います。

