破った約束の罰を背負わされた犬
2007年07月11日(水)
情操教育という言葉、今でも健在なのだろうか。本を読ませたり、楽器を弾かせたり、動物を飼ったり、そういうことのすべてが子供の情操教育、そんな意識が全盛だった頃、そこに着目した楽器メーカー、都道府県の至る所に音楽教室を開き、生徒を集め、だからあちこちの家庭で、子供にピアノを習わせるようになった。
夕方町を歩けば、どこかしらからピアノの音がして微笑ましかったが、やがてそれが原因の「ピアノ殺人事件」などという物騒な事件が起きて、次第に戦々恐々。その上、決して安くはないピアノ、それでも中学に入ればほとんどが部活を理由にやめてしまうから、ボーナスはたいた親はがっかり。しかも情操教育などという優雅さからはほど遠く、ひたすら練習が嫌だったという、苦い思い出だけが残ったりして。
それでも、ブームが過ぎ去ってもなお、ピアノなら一応は見栄えのする家具。狭い部屋、邪魔になれば「ピアノ高く買います」というあの広告、引き取ってもらえば、僅かではあっても元が取れるし、ピアノも海外に渡って再利用、いずれもそれなりにまあまあ御の字。無機質な物体相手ならこれにて一件落着。
ところが、同じく情操教育だからと動物を飼う親心、これだけは、時として救いがたい結末を招くことがある。10数年前、友人から慌しくかかってきた電話。「子供の同級生の家で飼っている犬、お母さんが保健所に連れていくと言っているらしいんだけれど、どうしよう」と。
最初からこちらにゲタを預けられても、ただただ迷惑な話だが、その人、友人の中で唯一動物が苦手、飼ったことがないというから、それも仕方がないことか。それでも繊細、命に対しては思いやりのある人だったから、飼ってあげることはできないの?と聞くと、彼女にも子供3人、日ごろから犬を飼いたいとせがまれていたところだから、そうしてあげようかしらと。
彼女、それからすぐに引き取りに行ったが、一歩違い、犬の姿はすでになかった。もう少し早く決断していれば助けてあげられたのにと、ずいぶんがっかりしていたが、まったくもって、つくづく運の悪い犬。その時、まだ生後6ヶ月ぐらい。後から聞けば、犬を保健所に連れていった理由が、「教育」のためだと言うのだから、呆然、愕然、憤然。
子供2人、捨てられていた子犬を拾ってきて、面倒を最後まできちんと見るなら、という条件つきで飼うことを許したらしい。情操教育にもなるだろうからと。ところが子供たち、次第に大きくなる犬に飽きてしまい、散歩にも連れてゆかず、放りっぱなし。そこで母親、子供二人を前にお説教をはじめた。
きちんと面倒をみてあげなさい・・・ではなく、面倒をみないのなら、保健所に連れていくというが最初の約束(すごい約束!)、約束は守らなければいけないと。子供たちは泣いて謝り、連れていかないでと懇願したが、約束は約束、その場で保健所に電話をし、連れていったのだという。
ああこうやって書いているだけで、会ったこともない人なのに、無性に腹が立ってくる。この母親にとっては、子供が約束を破ったということの非を教えるためなら、犬1匹の命などどうでも良かったということなのか。学校では評判の教育ママだったようだが、この母親の考える「教育」なんて、所詮「狂育」。
教えるべきは、どんなことがあろうと委ねられた命、最後まで見放してはいけないということ。それが本来の情操教育のはず。それなのに、あろうことかこの母親、モノ言えぬ弱い生き物の命を簡単に見棄てる方法を、子供たちに身をもって教えたのだった。それがどういう結果をもたらすか、いずれ老いゆく身、動かぬ体になって後、子供たちから知らされることになるだろう。
写真:(上)保健所に連れてゆかれる寸前に保護されたミミ。「情操」のために拾うなんて、思いもつかない。ただただ、命を救ってあげたいだけ。(左)人間の手の中で、こうして安心している子を、どうして裏切ることなどできよう。
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プロフィール
鈍行列車の「ちゅうちゅうとれいん」はいつも満員(ふ~っ…)!時々燃料切れを起こして更新が滞ることがありますが、どうぞ末永くおつきあいくださいネ。姉妹編の「あけみ参上つかまちゅり~」もよろしくお願い致します。
Cast

樹里絵(jyurie):1998年生まれ。マイペースで世話が焼けません。性格温厚で超パパっ子。

桃之輔(momonosuke):1999年生まれ。甘えっ子ですが、ものすごく臆病で、ほとんど一日中、布団の中に隠れています。

亜依子(aiko):2000年生まれ。自己主張が強くて偏屈ですが、そこがまた可愛いいんだなあ。超ママっ子です。

真美(mami):2005年生まれ。外見はタヌキそのもの、性格は犬そのものです。才気煥発で気性が激しい。

美意子(miiko):2005年生まれ? 歯を見ると6、7歳…本当は何歳だろう?一日中、文句たらたら言っています。

奈々(nana):2001年生まれ。ようやくノラっぽさもなくなり、明るい陽気な子になりました。
明美(akemi)にゃ三郎(nyasaburou)、小牧(komaki):2007年生まれ。仲良し3兄弟。毎日楽しそうに暮らしています。

里音(satone):2009年8月保護。どんな生い立ちでどんなニャン生を過ごしてきたのか、それは謎です。未来を生きる猫!

寿々(suzu):1994年12月~2010年3月12日。パパの仕事部屋に入れた唯一の子。人の気持ちがよくわかる、とてもとても頭の良い子でした。

福太郎(fukutarou):1997年4月~2008年3月20日。陽気で甘えっ子。抱っこされるのが大好きでした。お母さん代わりだった寿々との再会、「欣喜猫躍」していることでしょう。
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コメント一覧(2)
こんにちは、ジュリママさん。
先日はあたたかい励ましのコメント、ありがとうございました。
とても嬉しかったです。
しかし、驚くべき話ですね。
子犬を「教育のためのお道具」としてしか見ていなかったとは!
ジュリママさんのおっしゃるように「保健所」って言葉が
最初に出てくるところがすごい。
なんだかこの筋書きは最初からその母親の頭に出来ていて
保健所に連れてゆくことで彼女の思惑通り教育物語は完結。
「私ってすごいわ」と自己満足にひたったのではないでしょうか。
せめて子供たちが「連れて行かないで」と泣いて懇願した時に
「それじゃ、もう一度、約束できる?」と言ってくだされば
また別の教育ができたはずなのに…。
ところでミミちゃん、表情がセクシーですねえ。
エマニャエル夫人とお呼びしたいです。
ねこぼーし | 2007年07月13日 21:21
ねこぼーしさん
世の中には、とんでもない人がいるものです。
ねこぼーしさんの書かれているように、
私もこの母親、子供たちに親としての威厳を見せつけ、
逆に自己満足をしていたんじゃないかと思うんです。
こういう人がお隣さんじゃなくて良かったー(苦笑)
エマニャエル??なんだか舌を噛みそう!
ジュリママ | 2007年07月13日 23:58