忠猫ピーちゃん
2007年06月14日(木)
ご近所さんが茶色のキジ猫を飼い始めたのは10年ほど前のこと。その家の子供が通っていた小学校の通学路に、何匹かまとめて箱に入れて捨てられていたのを拾ってきたという。お母さんと一緒に見にゆき、一番かわいかった子を連れてきたのだそうだ。
拾われた茶猫、確かにふっくら顔でかわいかったが、それにも増してこの子、並の猫とは比較にならないほど利口だった。朝、子供たちが学校に行く時には、必ず後をついてゆき、道路の手前まで送り出して戻ってくる。夕方帰ってくれば遊びの輪に入り、一緒にボールを追いかけたりしていた。だから近所の子供たちからも人気があって、ピーちゃん、ピーちゃんと、いつも名前を呼ばれていた。
その頃、我が家には前の家から連れてきた外猫のジンがいて、これがピーちゃんの兄貴がわり、それはそれは仲が良く、寒い日など、同じ小屋の中で抱き合って寝ているほど。こう書くと、ほのぼのとした話のように聞こえるが、実はこの子、飼い猫だというのに、他人の家の小屋に寝泊まりをしなければならない身だった。
ピーちゃんはオス猫、去勢をしていなかったから、家の中でも遠慮会釈なしのマーキング。被害の少ないうちは我慢していたが、お年頃になってからは布団にたびたびの粗相、ついに家族中から総スカンを食らい、飼い主、それからというもの、家の中には一切入れないことにしてしまった。それ以来ピーちゃんは半ノラ生活、毛の色艶を見ただけでは、ノラなのか家猫なのかわからないほど薄汚れてしまったが、猫にしてみればまったくもって理不尽な話。
しばらくするとピーちゃん、涎を流しはじめ、極端に痩せ細り、明らかに重い病気の様相を見せ始めた。猫という動物、最後の最後まで弱った素振りを見せようとはしないから、人間が気遣ってあげなければいけないのだけれど、飼い主が病院に連れてゆく気配はまったくない。
お節介は承知の上、心配になり、獣医さんから抗生物質を貰ってきて、こっそり投与。薬など飲んだことがないから即効、急激に回復したように見えたが、それも束の間。猫をたくさん飼ってきた身、水晶玉など覗かなくとも、あとどのぐらい生きるかは、なんとなく想像がつく。
気が気ではなく、ついに、共働きで昼間はほとんどいないことをいいことに、飼い主不在を狙って拉致、動物病院に連れてゆくことにした。ケージに入れて車に乗せたが、まあその臭いこと臭いこと。おまけにこの猫、病院に着くまで人間の言葉をしゃべり続ける。「こんなことして、母ちゃんに言いつけてやるから」とかなんとか、そんなふうにしか聞こえない鳴きかた。
インターフェロン、抗生物質、点滴の3点セットを済ませて帰宅。絶対に内緒よ、と言い聞かせて放した。そんなことを3回ほど繰り返したが一進一退。目に見えて弱っていったが、それでも飼い主はこの子を家の中に入れてあげようとはしない。病魔に勝てず、ついに最後の日、車で帰宅すると、道路の真ん中に座り込んでいるピーちゃんがいた。
自力で歩くことなどできなかったから、抱き上げて連れ帰り、飼い主が帰ってくるのを待ち、もう危ないと思いますから、せめて今日だけでも、家の中に入れてあげてはくれませんかと懇願。その時、もう立てないはずのピーちゃんが私の腕からスルリと抜け、ニャアと鳴きながら飼い主夫婦の足元によろよろとしながら擦り寄っていった。力の入らない体で、それでも一所懸命甘える。ハタから見ればヒドイ飼い主、それなのにピーちゃん、恨むどころか、誰よりもその飼い主を信じ、愛しているのだった。
それから数時間後に亡くなってしまったピーちゃんの、最後まで飼い主を慕っていたその気持ち。当の飼い主がどう思ったかはわからないが、今は二代目の猫。今度は一切外に出さない。
写真:(上)最後まで飼い主を想い続けたピーちゃん。改めて写真で見ると、やっぱり寂しそう。(下)我が家の外猫、兄貴分のジン。こちらは幸せでした。
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プロフィール
鈍行列車の「ちゅうちゅうとれいん」はいつも満員(ふ~っ…)!時々燃料切れを起こして更新が滞ることがありますが、どうぞ末永くおつきあいくださいネ。姉妹編の「あけみ参上つかまちゅり~」もよろしくお願い致します。
Cast

樹里絵(jyurie):1998年生まれ。マイペースで世話が焼けません。性格温厚で超パパっ子。

桃之輔(momonosuke):1999年生まれ。甘えっ子ですが、ものすごく臆病で、ほとんど一日中、布団の中に隠れています。

亜依子(aiko):2000年生まれ。自己主張が強くて偏屈ですが、そこがまた可愛いいんだなあ。超ママっ子です。

真美(mami):2005年生まれ。外見はタヌキそのもの、性格は犬そのものです。才気煥発で気性が激しい。

美意子(miiko):2005年生まれ? 歯を見ると6、7歳…本当は何歳だろう?一日中、文句たらたら言っています。

奈々(nana):2001年生まれ。ようやくノラっぽさもなくなり、明るい陽気な子になりました。
明美(akemi)にゃ三郎(nyasaburou)、小牧(komaki):2007年生まれ。仲良し3兄弟。毎日楽しそうに暮らしています。

里音(satone):2009年8月保護。どんな生い立ちでどんなニャン生を過ごしてきたのか、それは謎です。未来を生きる猫!

寿々(suzu):1994年12月~2010年3月12日。パパの仕事部屋に入れた唯一の子。人の気持ちがよくわかる、とてもとても頭の良い子でした。

福太郎(fukutarou):1997年4月~2008年3月20日。陽気で甘えっ子。抱っこされるのが大好きでした。お母さん代わりだった寿々との再会、「欣喜猫躍」していることでしょう。
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コメント一覧(6)
昨日は私のブログにお越しいただきありがとうございました^^
改めましてよろしくお願いいたします。ぺこり
今日の記事を読んで、涙がでてしまいました・・・。
私も同じような経験がたくさんあります。
ほっておけないんですよね、やっぱり。
居てもたってもいられない気持ちよ~く分かりました。
だけど最後の力を振り絞って、それでもその飼い主さんが
好きなんですね・・・
ジュリママさんにとってはやりきれない気持ちもあったと思います。
だけどどんな形にせよ、好きな人のそばで最後を迎えられたことはよかったですね。
今ではきっとお空の上から、ジュリママさんにもあの時ありがとうって言ってくれていると思います。
またお邪魔しますね!
やまだのママ | 2007年06月14日 21:44
いじらしいピーちゃん!
最後の場面何度読んでも泣けてきます。
心無い飼い主。でもピーちゃんのそばには仲良くしてくれたジン君やいつも見守ってくれているジュリママさんがいました。ピーちゃんは幸せものでしたよ。
賢いピーちゃん、拾って育ててくれた恩は忘れずに飼い主さんに最後にお礼の気持ちを示したかったのかもしれませんね。
いいお話でした。
キキ | 2007年06月15日 00:32
やまだのママさん
コメントをありがとうございます。
こちらこそ、これからもどうぞよろしく ^^*
ピーちゃんのことがあってから、動物がどれほど飼い主を慕っているのか、とてもよくわかるようになりました。
この子たちの気持ちを裏切っちゃいけませんよね。
ジュリママ | 2007年06月15日 00:34
キキさん
お礼の気持ち・・・確かに、そう思いそうな子でした。
キキさんが書かれていらっしゃるように、
ずっとずっと、恩を忘れないでいたんですね。
ジュリママ | 2007年06月15日 10:49
こんにちは。
忠猫ピーちゃん、泣いてしまいました。
きっと、おうちの中に入れてほしかったんだろうなぁ。
最後に入れてもらえて、きっと、幸せな時間を過ごせたのでしょうね。
ジュリママさんは、ビーちゃんの心の恩人ですね。
チナツ | 2007年06月15日 12:28
チナツさん
最後の日を飼い主と一緒に過ごせたピーちゃん。
終わりよければすべて良し、と考えれば、
幸せな一生だったのかもしれません。
そう思いたいですね。
コメントをくださるみなさんの優しい気持ちに触れ、
涙、涙・・・です。
ジュリママ | 2007年06月15日 14:47