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鬱病治すに薬はいらぬ、猫の1匹いればよい

2007年06月04日(月)

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ミミを拾ったのは、仕事上の対人関係がきっかけで、「鬱病」なんていう心の病を抱えてしまい、一日中わけもなく悲しいだけ、起きる気力すらないという日々を過ごしていた時だった。精神科で処方される薬は飲めばボーッとするだけ、治る実感がまるでなくて閉口したが、複雑な脳の仕組み、薬でそう簡単に治るはずもないと、ハナから疑っていたせいだったのか。

このまま家から一歩も出なければヒッキーになってしまう。薬も効かないとなれば自分で治すしかないのだもの、どうにかして治さなくちゃ、先に進まなくちゃの一心で、重い心と体を引きずりながら、社会復帰にむけてのリハビリを始めることにした。今思えば「行動療法」。

幸いにして、家の近くのスーパーが募集していた事務の仕事にありつくことができた。一日に4時間ぐらい、売り上げ伝票の数字を電算機に打ち込むだけの作業。リハビリと割り切って始めたつもりだったのに、すぐに鬱病のネガティブな思考パターンに巻き込まれ、単純なルーチンワーク、この仕事からいったい何が生み出せるのかと、自分を責めるようになってしまった。

パタパタと伝票の数字を打ち込んでいると、ポロポロと涙がこぼれて仕方がない。かけなくてもいい眼鏡をかけ、涙を隠しながらの仕事。その日はどうにも耐えきれなくなり、トイレに立つ振りをして外に抜け出してしまった。そんなタイミングを見計らってのことだったのか、耳にかすかな子猫の泣き声が聞こえてきた。どうやら事務所の横にあるダンボール置き場。かき分けて奥のほうを覗くと、真っ白い子猫が紙くずのように身を縮めて潜んでいる。

スーパーのペット売り場には、子猫だの子犬だのがしょっちゅう捨てられる。この少し前にも、事務所の女性が昼休みから帰ってくるなり、ペット売り場に子犬が3匹捨てられていて、2匹はお客さんが貰ってくれたんだけど、1匹だけ残っちゃったんだって。変な模様の犬なの。もうすぐ保健所がくるのに、何も知らずにぐっすり箱の中で寝ていたわ、と言う。

見にいけばどうしても助けなくちゃいけないし、でもその頃の精神状態では里親を見つけてあげる気力など到底なく、だから聞かなかったことにしてしまったが、後々までそのことが心の片隅に残り、見てもいない子犬の姿が思い浮かんで閉口した。助けてあげればよかったとそればかり。

このまま見捨てればこの子も同じ運命。女ひとりで除けるには大変なダンボールだったが、助けたい一心、やっとの思いで子猫を救出した。連れ帰るつもりで小さなダンボール箱に入れ、仕事が終わるまでという約束で事務所の中に入れてもらった。その間も大きな声で泣き続けていたが、幸い店長は何も言わないでくれたし、パートのおばちゃんたちも代わる代わるやってきて、かわいいだのなんだのと言いながら抱き上げ、幸せになるのよ、と言ってくれる人までいた。

子猫はきれいな水色の目をしていて、薄汚れてはいるものの、一応白くて長めの毛。洋猫の血が混ざっているのもしれない。暑い中、何時間もダンボールに入れたままだったから、家に着くとぐったりしていて、食欲もない。翌日病院に連れていき、どうにか一命を取り留めたが、飼い主を前にして獣医さんが思わず口走った第一声が、情けない顔をしてるねえ・・・だったのは今でも笑い種。

子猫だったミミちゃん、青かったはずの目はみごとに茶色になり、毛の長さもフツウ、飼い主の期待を見事に裏切って、今ではただの白猫、ただの日本猫に落ち着いた。ただ、情けないのはそのままで、捨てられていたスーパーが大きな国道沿いにあったせいか、それがトラウマ、ゴーゴーという車の音が怖いらしく、しばらくは家の前を車が通っただけでベットに駆け込み、布団の下にもぐりこんでそれきり、一日中出てこなかった。

最近はようやく車にも慣れ、伸び伸びと暮らしているが、それでも臆病なことに変わりはなく、パパが抱こうとすると一目散に逃げる様子はまるで野良猫。ミミが子猫のころ、フクはミミを縫いぐるみだと思ったのか、口にくわえて放り投げようとして飼い主をあわてさせたが、ジュリはこの子がすっかり気に入ったらしく、一日中抱いて過ごしていた。わが子同然にかわいがって育てたのはジュリちゃんだったから、親のしつけが悪かったと責められるのはいつもジュリ。

拾った子猫の生命力に励まされ、病は快癒、これぞ究極のペットセラピー。猫の恩返しと思うべきなのか、はたまた、こちらが猫に恩を返さなくちゃいけないのか。


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写真:(上)拾ったばかりのミミ。(左下)目の色は茶色、これって「拾ってくれ詐欺」かも。


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ジュリママと猫たちを乗せて走る鈍行列車のちゅうちゅうとれいん。車窓から見える風景を、気ままに書き綴るブログです。あけみちゃんの絵日記、『あけみ参上つかまちゅりーっ!』もどうぞよろしく。どちらもボチボチの更新ですが、末永くおつきあい頂ければ嬉しく思います。

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