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縁は異なもの

2007年05月16日(水)

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カールはたった5年しか生きてくれなかった。実家で飼っていた犬は、最後は介護の日々になってしまったが、それでも20年も生きてくれたし、猫は18年生きた。だから家で飼っている動物というのは優に十数年は生きるものと思っていて、カールの寿命が短かったのは飼い方に問題があったのかもしれないと、しばらく鬱々とした日々を過ごしてしまった。どんな生き物にも与えられた寿命というものがあって、長いも短いも致し方のないこと、たくさんの猫達との出会いと別れを経験して、今はようやくそう思えるようになったが、当時はそんなふうに割り切ることはできなかった。

フクと出会ったのはカールを失ってちょうど一年、銚子から魚屋さんが車で魚を売りに来た金曜日のことだった。我が家は徹底したサカナ派、だから魚をどこで買うかは結構重要な問題。スーパーの魚は養殖だらけでなんだか気持ちが悪く、お刺身にシュッシュと液体をスプレーしているのを目撃してからというもの、素直にそれを口に運ぶ気にはなれず、仕方なく車を20分ほど走らせて信用のおける個人商店の魚屋さんに行き、10日分ぐらいまとめ買いをして、冷凍しておくようになった。

だから魚屋さんが売りに来てくれればなにより、必ず寄ってもらうようにしている。運命のその日も、門の前で魚屋さんと冗談を交わしながら、あれこれと魚を物色していた。ちょうどそこに二軒お隣の奥さんが車で帰ってきて、子猫の泣き声のするケージを抱えて門の中に入っていこうとする。このお宅はご夫婦揃って大の動物好き、だから普段から道で会えば猫や犬の話ばかりをするという仲。どうしたのかと尋ねると、息子さんが通っている養護施設の庭に子猫が捨てられていたのだという。

奥さんは飼ってあげたいのだけれど、すでに犬一匹と猫一匹を飼っているし、そもそもそご主人はもともと猫があまり好きではなく、だからこれ以上飼うのはだめだと言われたらしい。だから、せめてひとり立ちできるまで毎日家に連れ帰り、面倒をみてあげることにしたのだとか。施設長がもともと獣医さんだったことを伝え聞いてのことなのか、施設には犬や猫がしょっちゅう捨てられている。

ケージを覗くとそこには白黒の子猫。カールを亡くして一年目だったからはピーンと霊感、カールの生まれ変わりだと確信し、とにかく預からせてと、彼女の返事も待たずに家に連れてきてしまった。忘れもしない…その時パパはトイレの中。ドアの外から「カール君にそっくりな子、貰っていい?」と。あわてて出てきたパパがノーと言うはずもない。

ミルクの時期が終わるまで彼女が面倒を見ようと提案してくれたが、猫にミルクをあげるのは手馴れたもの、苦にならないからと、その日から我が家の子にしてしまった。カールも拾ったばかりのころは「美男子」からはほど遠い容姿だったが、この子、それにも増して、鼻には無造作に置かれた黒い模様、背中の模様は、母猫のお腹の中で細胞分裂をした時に(そんなことがあるのかどうかは知らないけれど)、黒い模様があちこちに飛び散ってしまったような奇妙な形。その上薄汚れていて、ママは「なんだか不細工な子ねえ」と言っていたが、パパは、こういう子ほどかわいくなると言って譲らない。確かに、みにくいあひるの子は白鳥になったが、みにくい子猫もそれなりの猫になった。

ただし性格はほんとうにいい子なのだけれど、この子、ドライフードをまったく食べてくれない。缶詰もどれでもいいというわけではなく、決まったブランドの決まった商品でなくちゃいけない。その上、本当に好きなものは「カツオのナマリ」で、これがなくちゃ生きていけないというほど。だからいつものスーパーで売り切れになっていたりすると、わざわざ車を飛ばして次のスーパー、次のスーパー、まさに「ナマリ尋ねて何千里」の世界で、フクのために一日を潰すことになる。

そんな面倒な子だけれど、カールがいなくなってさほど日数が経っていなかったこともあり、カールの命の延長線上、そのままずっと生き続けているようで、だからフクとは通算して15年もの長いつきあいをしているような感覚。あの時に出会ったのが白黒の猫ではなく、白猫とか茶猫だったら、たぶん貰ってはいなかっただろう。おまけに、二軒先のお隣さんと金曜日のあの時間に出会ったのは、ここに住んで10年以上になるが、後にも先にもあの時だけ。

白黒猫のことで、ひとつだけ胸の痛む思い出がある。カールの具合が悪く、もうだめかもしれないという切羽詰った時期だった。田舎道を車で走っていると、電線に止まっているカラスがやたらと騒いでいて、なんだろうと思ってその視線を追うと、そこには子猫がいた。一匹はもうすでにカラスに食べらてしまっていたようで、もう一匹がその側でうろうろしている。それが白黒の猫だった。カールの看病のこともあったし、急いでいたこともあり、さらに正直に言えば、なんだか怖くてそのまま通り過ぎてしまった。まだいるようなら拾ってあげようと決心しての帰り道、子猫のいた辺りを探したが、すでに影も形もなくなっていた。

どれもこれも助けてはあげられないのだし、そんなことをしたら、きっと何十万、何百万もの命を一人で背負わなくちゃならなくなってしまって、到底無理。縁のある子にはできる範囲のことはしてあげるにしても、それ以外はそれぞれの運命に任せるしかないのだろう。そうは思うのだけれど、運の良し悪しのなんと不公平なこと。運の良かったフクちゃんは前世、溺れかけたカツオでも助けてあげたに違いない。

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写真:(上)鼻の模様を除けばカールにそっくりなフク。でもフクの顔には‘わがまま’って書いてあって、やっぱりカールのほうがずっとおとなしそう(5月15日の写真)。(左)フクの1ヶ月目ごろの写真。


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プロフィール

鈍行列車の「ちゅうちゅうとれいん」はいつも満員(ふ~っ…)!時々燃料切れを起こして更新が滞ることがありますが、どうぞ末永くおつきあいくださいネ。姉妹編の「あけみ参上つかまちゅり~」もよろしくお願い致します。

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樹里絵(jyurie):1998年生まれ。マイペースで世話が焼けません。性格温厚で超パパっ子。

桃之輔
桃之輔(momonosuke):1999年生まれ。甘えっ子ですが、ものすごく臆病で、ほとんど一日中、布団の中に隠れています。

亜依子
亜依子(aiko):2000年生まれ。自己主張が強くて偏屈ですが、そこがまた可愛いいんだなあ。超ママっ子です。

真美
真美(mami):2005年生まれ。外見はタヌキそのもの、性格は犬そのものです。才気煥発で気性が激しい。

美意子
美意子(miiko):2005年生まれ? 歯を見ると6、7歳…本当は何歳だろう?一日中、文句たらたら言っています。

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奈々(nana):2001年生まれ。ようやくノラっぽさもなくなり、明るい陽気な子になりました。

明美 にゃ三郎 小牧
明美(akemi)にゃ三郎(nyasaburou)、小牧(komaki):2007年生まれ。仲良し3兄弟。毎日楽しそうに暮らしています。

里音
里音(satone):2009年8月保護。どんな生い立ちでどんなニャン生を過ごしてきたのか、それは謎です。未来を生きる猫!

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寿々(suzu):1994年12月~2010年3月12日。パパの仕事部屋に入れた唯一の子。人の気持ちがよくわかる、とてもとても頭の良い子でした。

福太郎
福太郎(fukutarou):1997年4月~2008年3月20日。陽気で甘えっ子。抱っこされるのが大好きでした。お母さん代わりだった寿々との再会、「欣喜猫躍」していることでしょう。

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