食べたいものが薬・・・というお話
2007年05月08日(火)
むこう三軒両隣…ちょうどそんな感じのご近所のご婦人たち二人と、最近開店したというフランス料理店のランチに行ってきた。私がちょっとした音楽会のチケットをお二人に差し上げたことへのお礼にと、ランチにしては豪華なコース料理をご馳走してくださった。遠慮なく‘わらしべ長者’の気分を味あわせて頂いた。昼間から、私だけだけれど白ワインを傾け、前菜にホッキ貝のサラダ、魚料理が鯛のムニエル、肉料理が鴨のソテー、それにジャガイモのビシソワーズ、デザート&コーヒー。
どの料理も、飾りつけ、お味ともになかなかのものだったけれど、フランス料理店というよりは、パーマ屋さんを改装したような、やけにカラッとした雰囲気が、時間をかけて頂く食事の場としては落ち着かなかったことと、今どき、家庭でも撥水加工の施してある布製のものを掛けているというのに、テーブルにビニールクロスが掛けられているのにはがっかり。デザートの前に、テーブルに落ちたパン屑を、丁寧に銀のダストパンで掃除してくれるお店の心遣いも、贅沢なおもてなしのひとつだと思うのだけれど、もしかしてここのお店、そんな時にはぞうきんででも拭くのかなあ。
まあ楽しいひと時を過ごしたし、お味良ければすべてよし。以前、別の友人が案内してくれたお店は、とてもお洒落なお店だったけれど、出された鴨のレアステーキは、ちょうど生きている鴨の体温と同じぐらいの生暖かさで気味悪く、それでも友人の手前、口から出すこともできず、必死に飲み込んでしまったことがあった。それに比べれば、今日のお店の鴨料理は断然おいしかったもの。
ほんとうのところ、我が家では宗教的な理由があるわけでもないし、頑固なベジタリアンというわけでもないのだが、肉料理は一切作らないし、食べない。餃子はホタテの缶詰、ハンバーグは鰯のつみれといった具合で、魚が肉料理の素材に化ける。パパは外食をすると、どんな小さなお肉も見逃さず、器用につまみ出してはお皿の横によけるほど。それなのにママだけは最近、時々だけれどお肉を食べるように「心がけて」いる。その理由は鬱病。もう過去形だけれど、繊細な(?)ママの心は社会生活の荒波に負け、ここ数年、ちょっとだけ故障をしてしまっていた。
鬱病というヤマイ、一端マイナス思考が始まると止まらなくなってしまう。セロトニンとノルアドレナリンの2つの神経伝達物質の減少によるものらしく、だから精神科に行くとセロトニンを増やす薬が出される。それが鬱病には効果的な治療法とされているようだが、ママにとっては薬は気力を失わせるだけのもの、その上依存性があると聞くと、怖くてとても頼る気にはなれなかった。そんな時に不思議と食べたくなったのがお肉、とりわけ分厚いトンカツだった。動物というのは、ある物質が欠乏して病気になると、その物質を含んだ食べ物が無性に食べたくなるらしい。
クリちゃんは厄介な「癲癇」持ちだった。突然体が硬直し、コテっと倒れてしまう。本ニャンは、治ればけろっとしてしまうのだが、高い所に上っていて、あっと思った瞬間には下まで転げ落ちているから、飼い主としては気が気ではない。獣医さんに連れて行っても「癲癇の薬はない」と言われ、発作の起きた時に飲ませなさいと、精神安定剤をくれたが、人間と違って精神が安定するどころかフラフラするから、そのことのほうがよほど恐かったようで、薬を飲むと暗い所に隠れる。かわいそうでとても続ける気にはなれなかった。この獣医さんは、前に書いた野性味たっぷりの獣医さんではなくて、いまふう「世襲」獣医。どこかの政治家達と同じで、ほんと…頼りなかったなあ。
そんなある日、発作が出た後に、クリは必ず鰯の骨をバリバリ食べるということに気がついた。だからいつも鰯を用意するようにしていたけれど、毎度毎度の繰り返しなので、もしかするとカルシウムが病気の治癒に関連しているのもしれないと思い、子供用のカルシウム錠を買い与えてみた。薬局で何歳のお子さんですかと聞かれ、「小学校の2年生」と答えて。それ以来、発作を起こす頻度が次第に少なくなり、ついには自然治癒してしまった。食べたいものが体に必要なもの。動物の本能というのは凄い。
それだもの、ママがセロトニンの原料となるトリプトファンをたくさん含んでいる豚肉が食べたくなるのも道理というもの。クリのこともあって、だから意識してお肉を食べるようにしている。ところがいったん肉を食べなくなると、あの肉独特の臭いが鼻について仕方がない。鶏肉なら、よほど香辛料をたっぷり使ったお料理しか食べられないし、牛肉だけはいまだに食べることができない。昔はオックステールのシチューだの、ローストビーフだのと、嬉々として作って食べていたのだけれど。このご時世、狂牛病も怖いし鳥インフルエンザも怖い。だから牛肉も鶏肉もあきらめてせいぜい豚肉どまり。災難と思って、豚さんにはあきらめてもらおう。
写真:(上)クリちゃんのまだ若々しく、凛々しかったころ。この子は16歳まで生きた。(左)鴨のステーキ。こうやって写真でみると、フランス料理というより大盛りの定食みたい。
プロフィール
鈍行列車の「ちゅうちゅうとれいん」はいつも満員(ふ~っ…)!時々燃料切れを起こして更新が滞ることがありますが、どうぞ末永くおつきあいくださいネ。姉妹編の「あけみ参上つかまちゅり~」もよろしくお願い致します。
Cast

樹里絵(jyurie):1998年生まれ。マイペースで世話が焼けません。性格温厚で超パパっ子。

桃之輔(momonosuke):1999年生まれ。甘えっ子ですが、ものすごく臆病で、ほとんど一日中、布団の中に隠れています。

亜依子(aiko):2000年生まれ。自己主張が強くて偏屈ですが、そこがまた可愛いいんだなあ。超ママっ子です。

真美(mami):2005年生まれ。外見はタヌキそのもの、性格は犬そのものです。才気煥発で気性が激しい。

美意子(miiko):2005年生まれ? 歯を見ると6、7歳…本当は何歳だろう?一日中、文句たらたら言っています。

奈々(nana):2001年生まれ。ようやくノラっぽさもなくなり、明るい陽気な子になりました。
明美(akemi)にゃ三郎(nyasaburou)、小牧(komaki):2007年生まれ。仲良し3兄弟。毎日楽しそうに暮らしています。

里音(satone):2009年8月保護。どんな生い立ちでどんなニャン生を過ごしてきたのか、それは謎です。未来を生きる猫!

寿々(suzu):1994年12月~2010年3月12日。パパの仕事部屋に入れた唯一の子。人の気持ちがよくわかる、とてもとても頭の良い子でした。

福太郎(fukutarou):1997年4月~2008年3月20日。陽気で甘えっ子。抱っこされるのが大好きでした。お母さん代わりだった寿々との再会、「欣喜猫躍」していることでしょう。
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