慕ってくれていたものを
2007年05月28日(月)
そろそろ夏っぽい雰囲気になってきたので、ちょっと怪談じみた話。犬や猫の「祟り」などという、そんなオドロオドロしい世界を真っ向から信じてはいないけれど、それでもちょっと思い当たるフシ。飼い犬を保健所に連れていった知人が、その後不幸を背負ったという話を二つばかり。
一つ目は実家のお向かいさん。ご両親は共に小学校の先生で、息子ひとり、娘ひとりの4人家族。まだ子供達が小さい頃、捨てられていた犬を拾ってきた。テリア系の雑種だったようで、ちょっとカールのかかった毛と長四角の顔が特徴的。小さい頃はかわいかったし、だから最初のうちは子供二人とお父さんとで、よく散歩に連れ出していた。
この犬、日に日に大きくなり、ついに立ち上がると子供の背丈をはるかに越えるぐらいにまで成長してしまった。散歩には行かなくなるし、そのうち庭先からなぜか駐車場に犬小屋を移動。その駐車場というのがコンクリートの打ちっぱなしで、土なんてどこにもないうえに、日陰を作ってくれる木の一本もない。
だからこの犬、真夏はコンクリートでできたフライパンの上で生活しているようなもので、さすがに太陽が一番高くなる時間になると、ワンワンキャンキャンと悲鳴をあげて窮状を訴える。家人は仕事で留守だから、だれもこの犬を移動させてあげることはできないし、時々水さえ置いていかないこともあって、犬好きにとっては気が気じゃない。
とりあえず水だけでも飲ませてあげようと、ボールに水を入れて駐車場に持っていき、長い棒を使って犬の口元まで押し寄せ、水を飲み終わるのを待って、またまた棒でたぐり寄せて証拠隠滅。この子、ちょっと凶暴で、他人は一切寄せつけないから、こんなことでもするしか方法がない。おせっかい婆さんの親切なんざ知ったことかと、その間もウオンウオンと吠えられっぱなし。姉には、夜になってから黒い頭巾でも被ってあげにいけばいいんじゃないの、と言われたが、別に泥棒に入ろうってわけじゃないし。
ところがその犬、ある日を境にぷっつりと姿を消した。あんな飼い方をしていたのだもの、死んでしまったに違いないと思っていたら、無情にも飼いきれなくなったので保健所に持っていったと言う。飼い主にはやたら甘える子で、家族に飛びついて喜んでいる姿を何度も見ていたから、きっとその日も散歩に連れていってもらえるものと思って、喜び勇んで飼い主の車に乗ったに違いない。ああ、哀れ。
ところがそれから1年ぐらいして、なんの因果か娘さんが足を骨折をしてしまった。しかもかなりの重症で、もう自力では歩けないだろうという。かわいらしい顔をした、賢い子だったのでとても不憫に思ったが、あれだけの仕打ち、犬の悔しさがこんな形になって現れたとしか思えなかった。
もうひとつは高校時代の友人が飼っていた犬。いつも門の脇の犬小屋で寝ていて、名前を呼ぶと静かに小屋から出てきて尻尾をふってくれる、おとなしい犬だった。この子も、ある日遊びにいくと犬小屋が空っぽ。彼女の母親がぜんそくで、犬の毛が良くないと医者に言われたので保健所に持っていったのだと言う。普通に飼ってもあと2、3年ぐらいの寿命しかなさそうな老犬、なにもわざわざ…。
ただただ、かわいそうでならなかった。この子の場合にはすべてを知り尽くしていて、諦めて保健所に行ったような、そんな気がしてならなかった。当の母親は、犬がいなくなってもぜんそくが治ることはなく、それからほどなくして、突然別の病で亡くなってしまった。
どちらのケースも、犬が祟ったのよ、なんていう冷たい言い方をする気はないが、それでも、いつか飼い主が迎えにくるものと信じ、保健所の檻の中で震えながら待っていただろう犬たちの最後を思えば、飼い主に会いたい一心、それが悪さを働いてしまうというのも無理からぬことのように思えてならない。成仏できない…っていう、あれ。
その昔、駅二つ隔てたところに住んでいた霊感のあるおばちゃん。それを生業としているぐらいだったから、病気でも何でも、とにかくよく当たる。そのおばちゃんに会うといつも「あら、またワンちゃんが側にいる。よほどかわいがっていたのねえ、嬉しそうについて歩いているわよ」と言われた。たぶんヒロちゃんのことで、毛の色から尻尾の形までそのまま。写真を見せたことも話したこともないのに、リアル。死んでもなお慕ってくれているということなのか。
ご近所のことも友人の母親のことも、偶然だっただけ。犬の因果かどうかなんて、霊感がないからからっきしわからないけれど、人間に命を委ねるしかない動物の、そのイノチを人間の都合だけで奪っていいはずがない。「祟り」っていう概念、案外そんな倫理的なことのために作られたものなのかもしれないと、ふと思ったりして。
写真:(上)初代の猫たち。最後まで人間との絆は深かった。(左)この子たちを拾った時の写真。目も鼻もグチャグチャ。人間を頼るしか生きる術がなかった。
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プロフィール
鈍行列車の「ちゅうちゅうとれいん」はいつも満員(ふ~っ…)!時々燃料切れを起こして更新が滞ることがありますが、どうぞ末永くおつきあいくださいネ。姉妹編の「あけみ参上つかまちゅり~」もよろしくお願い致します。
Cast

樹里絵(jyurie):1998年生まれ。マイペースで世話が焼けません。性格温厚で超パパっ子。

桃之輔(momonosuke):1999年生まれ。甘えっ子ですが、ものすごく臆病で、ほとんど一日中、布団の中に隠れています。

亜依子(aiko):2000年生まれ。自己主張が強くて偏屈ですが、そこがまた可愛いいんだなあ。超ママっ子です。

真美(mami):2005年生まれ。外見はタヌキそのもの、性格は犬そのものです。才気煥発で気性が激しい。

美意子(miiko):2005年生まれ? 歯を見ると6、7歳…本当は何歳だろう?一日中、文句たらたら言っています。

奈々(nana):2001年生まれ。ようやくノラっぽさもなくなり、明るい陽気な子になりました。
明美(akemi)にゃ三郎(nyasaburou)、小牧(komaki):2007年生まれ。仲良し3兄弟。毎日楽しそうに暮らしています。

里音(satone):2009年8月保護。どんな生い立ちでどんなニャン生を過ごしてきたのか、それは謎です。未来を生きる猫!

寿々(suzu):1994年12月~2010年3月12日。パパの仕事部屋に入れた唯一の子。人の気持ちがよくわかる、とてもとても頭の良い子でした。

福太郎(fukutarou):1997年4月~2008年3月20日。陽気で甘えっ子。抱っこされるのが大好きでした。お母さん代わりだった寿々との再会、「欣喜猫躍」していることでしょう。
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