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「遠くの親戚」にご用心!

2007年05月24日(木)

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サビちゃんが来たのは7年前の6月。そのほんの少し前の5月の末に、この地域一帯に大粒の雹が降った。夕方買い物に出かけ、スーパーで会計を済ませていると、空の色が漆黒に急変、たちまちのうちに世の中が真っ暗闇になってしまった。あまりに不気味な光景、天変地異の前兆のような気がして、急いで車に引き返して帰路についたがすでに手遅れ。

ものの5分と走らないうちに、車の屋根にコンコン、ゴンゴンと次から次に小石があたるような鈍い音。強い風も吹いてきて、引きちぎられた木の葉が目の前をクルクルと舞う。あまりに急なことだったから、何がなんだかよくわからないのだけれど、小学生の頃に繰り返し読んだ、ヴェスヴィオス火山の大噴火の光景がやたらと頭にちらつく。ポンペイの町があっという間に火山灰と火砕流の中に消えてしまったというあの話。それが突然現実のことになったようで、怖くて怖くてたまらない。

車の屋根を撃つ小石はきっと火山弾、まさか生きている間にこの世の終わりが来るなんて思ってもいなかったから、よりにもよって、なんて不幸な星の下に生まれたのだろう・・・どうせ滅びるのならパパや猫達と一緒。だからどんなことがあっても家にたどり着かなくちゃと、フロントガラスにもサイドミラーにもヒビが入ってしまうほどのものすごい雹に巻き込まれながら、人っ子一人車一台通らない真っ暗な田舎道を、ただただ突っ走った。幸いこの世の終わりはまだ先のことらしく、ほどなくして暗闇はいつもの静かな夕闇に戻った。

悪夢のような日から数日たった頃、普段はほとんど(…まったく)交流のない親戚のおじさまから雹のお見舞いの電話があった。大変でしたねえ、と盛んに同情してくれるが、あまりにも唐突な電話。年賀状も交わしていないし、姉のダンナさんのお姉さんのダンナさんという人だから、ちょっと遠い親戚。それでもとにかく心配をしてくれたことに感謝しつつ話をしていたが、そのうち雹の時と一緒、あたり一面に黒雲が漂い始める。

お見舞いの電話というのも嘘ではないけれど、「子猫、いりませんか?」というのがほんとうのところで、これが黒雲の正体。この人、児童文学者で、普段から子供を集めて遊んだり、ノラ猫さんたちににごはんをあげたり、だからご近所からは「一休さん」と呼ばれているのだとか。この一休さん、子猫を拾ったはいいけれど、すでに高齢の猫がいて、それが気難しくてどの猫ともうまくやれない、だから自分の家では飼えないと訴える。ウチだって新入りとの相性が悪くて大変な思いをすることがあるけれど、そんな時はとにかく馴れるまでじっと我慢しているのに…と内心思いつつ、団地のダストボックスの中で生活しているんですよと言われて、ついグラリ。

自分の性格に半ばあきれながら受け取りに行くと、一休さんが抱えていたのはお世辞にもかわいいと言えないサビ猫。顔が半分に割れているような模様で、どこに焦点を当てればかわいく見えるのか、わからない。こわばった笑顔で貰ってきたが、でも良く見ると首に黄色いリボンをつけてもらい、お風呂にも入れてもらったらしくてフワフワ。幸せになるようにと祈りながら、よそゆきの格好をさせてくれたのだろう。

ほっとしたのか、この子、連れ帰る車の中、狭いケージに入れられているのにお腹を見せてぐっすりと寝てしまった。仰向けになったまま身動きひとつしないから、てっきり環境の変化にびっくりしてショック死をしてしまったんだと早合点、「パパ~、死んじゃったみたい」と助手席で大騒ぎをしたが、実はこれ、後々オオモノになるという証だっただけ。

人間にも「面食い」というのがあるけれど、顔なんて毎日一緒に生活していると馴染んでしまって、いつの間にか、素敵だったのか素敵じゃなかったのかわけがわからなくなる。それとまったく同じで、サビちゃんの模様も、一緒に生活しているうちに一向気にならなくなってしまった。それどころか、今ではかわいくて仕方がない。きつい性格で、他の猫とすれ違おうものなら必ず猫パンチの先制攻撃を食らわせる。その意地悪さがチャコに似ていて、だからチャコの分まで長生きさせようと、かわいがることかわいがること。

雹が降らなければ我が家には来なかった猫。こういうのも「災い転じて福」というのだろうか。小さかった頃の写真を見ると、こんなちっぽけな体で一生懸命生きていたんだと、そのけなげさがたまらなくいとおしい。その後親戚からの音沙汰はなかったが、サビが来てから5年後、またしても「ご無沙汰しています」の電話。こちらはすでに耳が後ろにぺったりと張り付いて警戒心丸出し、案の定「子猫が捨てられていましてねえ」…と。

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写真:(上)貰われてくる日に、黄色いリボンをつけてもらって一休さんの家で記念撮影。(左)今やメタボリックなサビ猫に・・・。


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プロフィール

鈍行列車の「ちゅうちゅうとれいん」はいつも満員(ふ~っ…)!時々燃料切れを起こして更新が滞ることがありますが、どうぞ末永くおつきあいくださいネ。姉妹編の「あけみ参上つかまちゅり~」もよろしくお願い致します。

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樹里絵
樹里絵(jyurie):1998年生まれ。マイペースで世話が焼けません。性格温厚で超パパっ子。

桃之輔
桃之輔(momonosuke):1999年生まれ。甘えっ子ですが、ものすごく臆病で、ほとんど一日中、布団の中に隠れています。

亜依子
亜依子(aiko):2000年生まれ。自己主張が強くて偏屈ですが、そこがまた可愛いいんだなあ。超ママっ子です。

真美
真美(mami):2005年生まれ。外見はタヌキそのもの、性格は犬そのものです。才気煥発で気性が激しい。

美意子
美意子(miiko):2005年生まれ? 歯を見ると6、7歳…本当は何歳だろう?一日中、文句たらたら言っています。

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奈々(nana):2001年生まれ。ようやくノラっぽさもなくなり、明るい陽気な子になりました。

明美 にゃ三郎 小牧
明美(akemi)にゃ三郎(nyasaburou)、小牧(komaki):2007年生まれ。仲良し3兄弟。毎日楽しそうに暮らしています。

里音
里音(satone):2009年8月保護。どんな生い立ちでどんなニャン生を過ごしてきたのか、それは謎です。未来を生きる猫!

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寿々(suzu):1994年12月~2010年3月12日。パパの仕事部屋に入れた唯一の子。人の気持ちがよくわかる、とてもとても頭の良い子でした。

福太郎
福太郎(fukutarou):1997年4月~2008年3月20日。陽気で甘えっ子。抱っこされるのが大好きでした。お母さん代わりだった寿々との再会、「欣喜猫躍」していることでしょう。

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