学歴か、はたまた愛か
2007年05月22日(火)
小さい頃から動物が身近にいる生活をしてきたが、動物の宿命、いつも健康とは限らず、だから獣医さんとの縁は切っても切れない。実家で飼っていた犬のヒロちゃんは20年という長い歳月を生き抜いた子だったが、15歳を過ぎたころから白内障、18歳を過ぎたころからは「認知症」と、人間とまったく同じ経緯をたどりながら老いてゆき、最後は大変な介護の日々となった。
最晩年には癌にも侵されていたから、ヒロも大変だったろうが、飼い主の精神的、肉体的な負担は結構なものだった。往診に来てもらったりもしていたのだが、その時にかかっていた実家近くの動物病院の獣医さんというのが、なぜか病気の動物には絶対に触らないという人だった。まさか動物が怖かったのか、それとも病気がうつることを警戒していたのか、聴診器もあてなければ、リンパ節が腫れているかどうかという、(素人だからよくわからないけれど)そんな基本的なチェックもしなかった。
それで、どうやって治療方法を決めていたのかは今もってわからないが、「カン」の働く医者だったのだろうか。それじゃまるで霊能師だけれど(今ふうに言えば、スピリチュアルカウンセラー?)、シャーマンを考えればそれもありか。おそらくは、ほとんどの細菌感染に効きそうな、つよ~い抗生物質を出していただけなのだろう。人間を診るヤブ医者のことを「葛根湯医者」なんていう皮肉な言い方をするけど、まさにそれ。
当時は動物病院自体あまり多くはなかったし、なによりも車の運転ができなかったから、とにかく近場、せいぜい自転車で行ける範囲の病院に行くしかなかった。だから仕方なく行っていたようなところがあって、もっといい病院が見つからないものかと、いつも思っていた。もっと近くにあったことはあったのだけれど、ここの獣医さんは馬牛専門と聞いていたから、どうにも気が進まなかった。
ところがそんなある日、この馬牛専門の「S動物病院」が二代目に代替わりした。ここ、先代も息子も‘天下’のT大出身という獣医さんだった。「止めてくれるなおっかさん、背中の銀杏が…」というあのT大。T大卒の若手なら信頼がおけるかも、という淡い期待を抱き、早速鞍替えをしてしまった。
二代目、特に秀でたふうには見えなかったが、ボンボン然とした雰囲気と、そののんびりとした対応に好感が持てた。ところがしばらく通ってみると、どうもここ、出してくる薬の箱、薬の箱、すべてが茶色く変色していてやけに古っぽく見える。薬だって消費期限があるし、なによりもそんなに古い薬を出してくるというあたり、着々と進歩する医学をいったいどこまで勉強しているのだろう。
クリちゃんの癲癇発作を診てもらったのもこの病院だったが、その時も、先代が読んでいたようなボロボロの医学書を引っ張り出してきて、「長い食べ物は癲癇によくないって書いてありますねえ」と言う。うなぎとか穴子とかは癲癇によくないらしい。でもあまりの医学書の古めかしさ、とっくに新説が出ているんじゃないの?と、喉まで出掛かったが、そこはそれ、ぐっとこらえて。
そんな二代目の評価を、一挙にぐーんと下げてしまった事件が起きた。外猫が風邪をひいたらしく、ぐったりしているので病院に電話をし、どうやれば助けてあげられるかを問い合わせた時のこと。電話には母親らしき人が出て、事情を聞くと、電話口を塞ぐのを忘れたのか無神経なのか、大きな声で奥にいるらしい二代目に、「野良猫が風邪ひいたんだって。どうすればいいのかだって」と叫ぶ。かすかに聞こえてきたのは「野良猫なんてほっとけばいいんだよ」という言葉だった。古い薬だけならともかくも(そうでもないか)、この非情な言葉を聞いてそれきり。
次に行ったのが野性味たっぷりの熱血医師。実はこの獣医さんもT大出身だった。こちらは頭の冴えた、鋭い感じのする人だったが、なんといっても診察が大雑把。それなりに恩義は感じているものの、大切にしていたチャコちゃんの病気、もし、きちんと手術をしてくれていればあんな結果にはならなかったのにと、今なお根に持っているような恨みがましい思いがあって、行くのをやめてしまった。
獣医さんの学歴をあれこれ言うつもりはないけれど、こうやって思い返してみると、どうも「偏差値の高い」大学出身のお医者さんのことを、世間並みに、何はともあれ信じてしまっていたみたい。知人の外科医が、某私立医大の教授となって学生を教えていたころの話。試験に出した問題に「肛門を縫いつける」と答えた学生がいて、じゃあウンチはどこから排泄するの?と質問したところ、答えられなかったんだとか。「こんなのが医者になるのか」とその彼、激怒していたが、そんな話を聞いていたからなおさら。
今のかかりつけの獣医さんはT大出身じゃないが、動物の命に向かう時の姿勢はどこまでも真摯。診断はもちろん理性的に下してもらわなくちゃ困るから、知的な能力がないというのは問題外。でも、それにも増して小さな命を心からいとおしいと思い、なんとしてでも救おうとする使命感が、獣医さんにとってはさらに大事な条件になりそう。「腐ってもT大」より、心優しき「鮮度のいいどことか大学」のほうが、たぶんずっといいに違いないと思うこのごろ。
写真:(上)いつも仲良し、健康でいてくれるのがなにより。(左下)大好きだったチャコ。
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プロフィール
鈍行列車の「ちゅうちゅうとれいん」はいつも満員(ふ~っ…)!時々燃料切れを起こして更新が滞ることがありますが、どうぞ末永くおつきあいくださいネ。姉妹編の「あけみ参上つかまちゅり~」もよろしくお願い致します。
Cast

樹里絵(jyurie):1998年生まれ。マイペースで世話が焼けません。性格温厚で超パパっ子。

桃之輔(momonosuke):1999年生まれ。甘えっ子ですが、ものすごく臆病で、ほとんど一日中、布団の中に隠れています。

亜依子(aiko):2000年生まれ。自己主張が強くて偏屈ですが、そこがまた可愛いいんだなあ。超ママっ子です。

真美(mami):2005年生まれ。外見はタヌキそのもの、性格は犬そのものです。才気煥発で気性が激しい。

美意子(miiko):2005年生まれ? 歯を見ると6、7歳…本当は何歳だろう?一日中、文句たらたら言っています。

奈々(nana):2001年生まれ。ようやくノラっぽさもなくなり、明るい陽気な子になりました。
明美(akemi)にゃ三郎(nyasaburou)、小牧(komaki):2007年生まれ。仲良し3兄弟。毎日楽しそうに暮らしています。

里音(satone):2009年8月保護。どんな生い立ちでどんなニャン生を過ごしてきたのか、それは謎です。未来を生きる猫!

寿々(suzu):1994年12月~2010年3月12日。パパの仕事部屋に入れた唯一の子。人の気持ちがよくわかる、とてもとても頭の良い子でした。

福太郎(fukutarou):1997年4月~2008年3月20日。陽気で甘えっ子。抱っこされるのが大好きでした。お母さん代わりだった寿々との再会、「欣喜猫躍」していることでしょう。
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コメント一覧(2)
突然申し訳ありません。
ブログ専門検索&コミュニティサイト「ぶろぐひろば」です。
http://bloghiroba.com/blog/
貴サイト様を拝見し、是非当サイトに参加いただきたいと思いコメントさせていただきました。
出来て一年たらずの未熟なサイトですが是非ご参加をご検討ください
ぶろぐひろば | 2007年05月24日 00:05
ぶろぐひろばさま
コミュニティサイトへのお誘い、ありがとうございます。
前向きに検討させて頂きます。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
ジュリママ | 2007年05月24日 20:50