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カテゴリー:猫と芸術

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猫のいる「松山庭園美術館」

2007年09月19日(水)

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千葉県八日市場市にある松山庭園美術館に行った。最初から美術館を目指してのドライブではなく、近くまで用事があっての帰り、「美術館」という看板に引かれて、思わず寄り道をしてしまっただけのことなのだけれど。

間違えたかと思うほど狭い山道、こんな田舎道の中に、本当に美術館なんてあるのかしらと心配になりだした頃、ようやくカラフルな、人目を引くオブジェが現れてきた。ところが、駐車場に車を止めて入り口を探しても、それらしい場所はなくて狐につままれたみたい。これが美術館?

入り口でチケットを買い求めて中に入ると、武家屋敷に入り込んだような錯覚、手入れの行き届いた日本庭園が延々と続く。あちらこちらに日本庭園とはおよそ不釣合いな、けれど不思議と景色に溶け込んだ、ガンダ(使い古して捨てられた鉄くずなど)で作られたユニークなオブジェが立ち並ぶ「野外美術館」・・・。

ここは、此木三紅大(このきみきお)が建てた美術館で(私設!)、アトリエもあると言う。はて、アトリエはどこにあったのだろう。駐車場のすぐ横の門で黒猫が目を光らせていたけれど、あの門の中の、窓にステンドグラスのはめ込まれた、瀟洒なレンガ造りの建物、あれがアトリエ?

庭園には茶室の他に、「見晴らし亭」と呼ばれる20畳ほどの座敷もあって、自由に入れる。ここにあがり込み、爽やかな風に吹かれながら、目の前の広大な田んぼと里山を眺めていると、娑婆の憂さなどどこか遠くに消えてゆく。

「人」と「消費」に一切関わりのない世界、社会から隔絶した空間の、なんという清清しいこと。もっともここは美術館でありアトリエ、悲しいかな、人も消費も無縁の世界ではありえないのだけれど・・・。

今の田舎暮らしは望んでのことだったが、それでも10年も住むと、文化から遠ざかってしまったこと、活動拠点への移動が、平均して2時間はかかるという時間のロス、そして都会ほどに無関心ではいられない人間関係が少しだけ煩わしく、そろそろ都会に戻りたくなっていた。

それなのに、改めて空と緑しか見えない空間を堪能してしまうと元の木阿弥。いっそ、もっと人里離れた所に住もうかという気になってしまう。庭園をゆったりと歩く猫に出会えばなおのこと。猫、猫と騒がれることもなく、自然の中に、当然あってしかるべき生き物として生きている姿の、なんという心地よさ。

出会った猫さんはシャムのようで、呼ぶとのったりと側にやってきた。たぶん此木さんの飼い猫なのだろう。猫がお好きなようで、異様に数の多い肋骨の、骨だけの姿で伸びをしている猫や、鉄を溶接しただけの無機質な塊なのに、緑の中で今にも歩きだしそうな猫が、庭のあちこちから姿を現す。

屋内の美術館に展示されていた100号は越えそうな油絵の、何百というコマに分かれた絵の中にも、楽器を弾く人たちに紛れて、たくさんの猫が思い思いのポーズで描かれている。

此木さんの作品はもとより、それ以外の収蔵作品を堪能するもよし、猫との出会いを期待して出かけるもよし、自然を満喫するもよし。「松山庭園美術館」のホームページhttp://www.konoki.com/index.htmlには、たくさんの芸術作品と猫ちゃんの写真。

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写真:(上)門扉の黒猫さんと、シャムちゃんがお出迎えしてくれた。(左)松山庭園美術館の入り口。


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芸(術)は猫を助けない?

2007年11月28日(水)

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地方都市の小さな画廊でジャン・ジャンセン展が催される。ジャンセンの描く女性はひたすら細く、肉欲をそそる豊満さはないが、妙に怠惰なエロティシズムを漂わせている。ジャンセンと聞くと、ずっと昔、画廊でアルバイトをしていた頃のことを思い出す。

某大手商社に勤める30代後半と思しき男性が、ジャンセンの版画を購入した。その版画はジャンセンの絵の中でもことのほかエロティックで、細身の女性が臆面もなく大きく足を開き、画家はそれを真正面から描いている。巨匠ジャンセンの絵といえども、これを買うには勇気がいる。

購入した男性、後日自宅に届けて欲しいが、日と時間を必ず守って欲しいと言う。ところが画廊主、うっかり別の日に版画を届けてしまった。マンションのインターホンを押すと現れたのは奥方。その後どういう家庭争議が繰り広げられたのかはわからないが、当の男性から、ものすごい勢いでクレームの電話が入った。どうして約束を守らなかったのかと。

どうやら奥方には内緒で買ったらしい。諍いの内容は「なんでこんなお高い版画を黙って買ったの?」か、あるいは「なんでこんないやらしい絵を買ったの?!」のいずれかに違いない。下種の勘ぐり、あの版画を亭主がこっそりと隠れて買ったとなれば、やっぱり後者。

それにしても、怪し気なジャンセンの版画がどうして「春画」ではないのか。ここが「芸術」という定義の面白いところ。木下直之『美術という見世物』(ちくま学芸文庫)の中に、歌川芳国の「当盛見立人形之内 条の仙人」という錦絵が紹介されているが、この錦絵の下絵など、ジャンセンの版画と、描くところほとんど変わりがない。

久米仙人を雲の上から落とした「布洗い女」は大きく足を広げて、下半身も露わ。この布洗い女のモデルは、松本喜三郎という、当代きっての「生人形師」が作った裸体の女性の人形らしい。

喜三郎の生人形といえば、見世物小屋の興行でずいぶんと評判だったらしいが、明治2年に政府が「春画並ニ猥ケ間敷錦絵」を取り締まるようになり、同時に「男女の裸体モ相見ヘ不埒ノ至」として、喜三郎の人形も取り締まりの対象となっていったようだ。

錦絵として完成された芳国の「当盛見立人形之内 条の仙人」に、下絵のような露骨な描写が見られないのは、こうした理由が関係しているのだろう。木下氏は、生人形(の裸体)は「見世物」であったという理由で、西洋人の規定する「美術」から大きく逸れてしまったのだとしているが、はて、芸術的な裸体と猥褻な裸体、凡人はどう見分ければ良いものかと頭をひねるばかり。

これって、またしても猫の話題とは何にも関係がないじゃないって?いえー・・・

数日前、市川崑監督の『我輩は猫である』をCSの日本映画チャンネルで観てのこと。仲代達也だの波野久里子だの緑魔子だのと、市川監督だからこその一流の芸達者たちの顔、カオ。

けれど、その演技がいやらしく感じて閉口するばかり。昔、渋谷の「ジャンジャン」にシェイクスピアシアターの芝居をよく観に行ったけれど、あの時のリア王の大仰な演技、芝居となんら変わりない。うんざりしながらも、それでも最後まで観ていたのは、市川監督、「我輩」が最後に大きな甕に落ちて溺死する場面をどう描写するかしらと、そこに興味があってのこと。

あれれ、センスないなあ。甕に本当に猫を尽き落としたのだろう、溺れる姿をカメラが下から写す。細君が翌朝甕を覗くと、ポッカリ浮かんでいる我輩。一部だけしか映らないのだけれど、やけにリアルな毛、しかも、もはや生きてなんていないことが明白な無機質な毛。いやな場面だ。

そもそも、随所に現れる猫の描写に、猫をいとおしく思う監督の目が感じられないのはどうしたことか。猫が動こうとした時、右手足が床から離れずニャーとひと鳴きしてもがくような仕草をしたのを、猫好き、見逃してはいませんぞ。錯覚ではあるまいて。

きっと市川崑は猫が嫌いに違いないと、せっかくの「芸術」映画を観ての感想はそれだけ。巨匠の撮る映画が浴する「芸術」という評価。そこで表現されるものすべてが美化されてしまうが、映画にせよ絵画にせよ文学にせよ、観客のイマジネーションを強奪するものなど、「芸術」とは言えないんじゃないかと、そう思ったりして。漱石も「我輩」の最後、こんな書きかたをしちゃいない。

本当に死んだのかどうか定かではないけれど、監督の名声のために甕で溺れた哀れな猫ちゃんよ、「太平は死ななければ得られぬ。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」

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写真:(上)ジャンセンのモデル風肢体を見せるミイちゃん。足を開いているけれどひとつもセクシーじゃない。ちょっと大きめだし。(左)3匹の子猫の近況です。はい、かわいいです!里親・・・~~;


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猫に逢いに美術館

2008年05月20日(火)

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一昨日、仕事に疲れ果てて行き場を失くし、どこか自然の中で気分転換をしたいと電話してきた姉を連れて、松山庭園美術館に行ってきた。お天気に恵まれれば散策にも格好の場所だし、ちょうど<猫ねこ展覧会2008~猫たちの贈り物~>(4/25(金)~6/8(日))という、猫の絵ばかりを集めた美術展の真っ最中。姉も無類の猫好きだから異論のあろうはずがない。

60名の画家たちによる猫の絵は、メルヘンチックなものから鬼気迫るものまでいろいろ。私のお気に入りは、松山庭園美術館賞に輝いていた「猫のお買い物」(・・・という題だったと思うのだけれど)と「猫の妖怪」(こんな題だったかなあ?)。いずれも富士美猫さんの作品で、着物を着た猫たちが独特の世界を展開する。

順路どおり絵を鑑賞し、最後の部屋にたどり着くとお茶の接待をしてくださる。美術館の主である画家の此木さんは大の猫好きで、今現在8匹の猫を飼っていらっしゃるのだそうだ。その猫たちが、いつもならとっかえひっかえ接待に現れるというのだが、私たちの前に100名もの団体さんがみえていたとかで、さすがにお客様慣れしている猫たちも、びっくりして姿を消してしまったらしい。

あら、残念ねえと言いながらお茶をすすっていると、黒キジちゃんがひょっこり姿を現した。以前飼っていたくりちゃんにそっくり。かわらしいというよりむしろ精悍な雰囲気で、いかにもキジ猫。遠巻きにヒトのことを見ているから、いらっしゃいよ、と手招きするとひょいと膝に乗り、しばらくモミモミした後、そのままアンモナイト。

接客のお手伝いをされていた女性が、この子はあまり人になついていなくて、知らない人の傍には滅多に近づかないのに、あら、寝ちゃったんですかとそれはそれは驚き、ねえねえ、トラちゃんが膝に乗っているわ・・・と他の女性まで呼びに行って、たちまち見世物。伊達に10匹飼ってるわけじゃないのよと、背中に彫った猫の刺青みせながら啖呵のひとつもきりたくなったが、それ以上に、改めて自分の猫まみれの身の上を思い返し、身が縮こまる。

ひとしきり猫談義をした後、庭に出ると白猫ちゃんの登場。ミルクちゃんという名前だそうだ。撫ぜていると、さきほどの女性がわざわざ庭に出てこられ、この子は美術館にいらっしゃるお客様のお出迎えをする看板娘なんですよ、と話してくれた。

「実はこの子には裏話がありましてね、もう12年も前になるんですけれど、どこからかこの子が突然現れたんです。此木さんは猫がお好きなので飼ってあげようとされたのですが、先住の子が絶対に受け入れずものすごい喧嘩。一緒に飼うことはできないと、ご夫妻で泣く泣く八日市場の駅まで捨てにいかれました。

ところがこの子、次の日に帰ってきたんです。一生懸命帰ってきたのですから、飼わないわけにはいきません。此木さんがおっしゃるには、捨てに行く車中、窓から外をじっと見ていたけれど、あれは、帰る道を必死で覚えていたに違いないと。」

八日市場の駅から美術館まで3キロ近くある。いくら賢い猫でもまさか・・・と思ったが、ミルクちゃんならやりかねない。猫を駅まで捨てに行ったご夫妻の様子が目に浮かび、内心苦笑い。捨ててはみたものの、もともとが大の猫好き。捨てた夜は眠ることもままならず、戻ってきてはくれまいかと、心のどこかで念じていたのだろう。その思いが通じたに違いない。

絵と猫と緑を満喫した後は、美術館の前を通る県道(?)を隔てた山里の奥深くに建つ「飯高檀林」に立ち寄った。ここは立正大学発祥の地とか。1560年に開設された日本最古の大学跡ということもあって、合格祈願と書かれた絵馬が並ぶ。最高の知が結集していただろうこの地の空気を吸って、少しだけ賢くなったような気持ちになって帰路につく。

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写真:(上)ガンダ彫刻の前でポーズをとってくれたミルクちゃんとトラちゃん。(下)飯高檀林。鬱蒼とした木々はどれも相当な樹齢。歴史を見てきたのだろうと思うと不思議な気持ちに。


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プロフィール

鈍行列車の「ちゅうちゅうとれいん」はいつも満員(ふ~っ…)!時々燃料切れを起こして更新が滞ることがありますが、どうぞ末永くおつきあいくださいネ。姉妹編の「あけみ参上つかまちゅり~」もよろしくお願い致します。

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Cast

樹里絵
樹里絵(jyurie):1998年生まれ。マイペースで世話が焼けません。性格温厚で超パパっ子。

桃之輔
桃之輔(momonosuke):1999年生まれ。甘えっ子ですが、ものすごく臆病で、ほとんど一日中、布団の中に隠れています。

亜依子
亜依子(aiko):2000年生まれ。自己主張が強くて偏屈ですが、そこがまた可愛いいんだなあ。超ママっ子です。

真美
真美(mami):2005年生まれ。外見はタヌキそのもの、性格は犬そのものです。才気煥発で気性が激しい。

美意子
美意子(miiko):2005年生まれ? 歯を見ると6、7歳…本当は何歳だろう?一日中、文句たらたら言っています。

奈々
奈々(nana):2001年生まれ。ようやくノラっぽさもなくなり、明るい陽気な子になりました。

明美 にゃ三郎 小牧
明美(akemi)にゃ三郎(nyasaburou)、小牧(komaki):2007年生まれ。仲良し3兄弟。毎日楽しそうに暮らしています。

里音
里音(satone):2009年8月保護。どんな生い立ちでどんなニャン生を過ごしてきたのか、それは謎です。未来を生きる猫!

寿々
寿々(suzu):1994年12月~2010年3月12日。パパの仕事部屋に入れた唯一の子。人の気持ちがよくわかる、とてもとても頭の良い子でした。

福太郎
福太郎(fukutarou):1997年4月~2008年3月20日。陽気で甘えっ子。抱っこされるのが大好きでした。お母さん代わりだった寿々との再会、「欣喜猫躍」していることでしょう。

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